アマチュア落語家の小竜治です。
前回、落語の台本の作り方を解説しました。
この記事では、これまで10席以上ネタを覚えてきた私の練習方法をご紹介します。
落語初心者さんの参考になれば幸いです。
まずは暗記
台本が完成したら、次は暗記です。
「暗記は手助けできません」
これは、私が落語を教わっている立川談修師匠のお言葉です。
落語教室の講師から習うのは、「どうすればもっと良くなるか」といった、演出の部分がメインです。
なので、稽古が始まるまでに、しっかり暗記しておく必要があります。
そうでないと、稽古の場を最大限にいかせません。
ネタの覚え方
私の場合は、台本を読みながら覚えるよりは、参考にした音源を繰り返し聞いて覚えていくタイプです。
- 台本作成時に参考にした音源を繰り返し何度も聞く→耳が覚えてくる
- 覚えてる内容をとりあえず口にしてみる
- つまるところがあれば、台本を確認する
という覚え方をしています。

好きな歌を繰り返し聞いてると、耳が覚えて、歌詞カードを見なくても歌えるようになるじゃないですか。
あれに近い感覚だと思っています。
それに、台本を作るときに考えながら作ってると、けっこう覚えているものです。
この段階では、所作や表情などはあとまわしにして、ネタを覚えることを優先します。
台本を読んで覚えることのデメリット

稽古の場で台本を読むことはできません。
なので、台本を読みながら覚えていくよりは、耳で聞いて覚えた内容を口にして確認していく、という進め方のほうがいいと私は思っています。
稽古の場でつまっても、台本を見直すことはできませんから。
とにかく繰り返し練習
あとは稽古日に向けて、練習あるのみ。
講師からのアドバイスを元に、台本を手直ししては覚え直す、といった作業が続きます。
私は、この工程が一番好きですね。
やってて楽しい。
- ここはセリフを変えてみよう
- ここはもう少し間を空けてみよう
- ここはテンポよくやってみよう
とか、試行錯誤してる状態ですね。
ネタに対してPDCAを回してるような感覚です。
どこで練習してるの?

家の中だったり、カラオケボックスに行ってやったりします。
家の中で大声でやるのは気がひけるので、声を出したいときはカラオケボックスに行ってます。
ただ、正座をして最初から最後まで通して練習する回数は、少ないかもしれません。
それよりは、
- シャワーを浴びながら
- トイレで用をたしながら
- 食器を洗いながら
など、ながら練習が多いです。
口笛のように口ずさむ感じ。
あとは、ぼーっとあぐらをかきながら気になる部分だけやってみる、とかですかね。
屋外でやることも
電車の中でやることもあります。
さすがに声を出すことはありませんが、音源を聞きながら上下だったり目線なんかの練習はできます。
談修師匠から聞いた話ですが、駅のホームで大声でしゃべってる人がいたので見てみたら、兄弟子が歩きながら練習していたそうです。
あとは、数年前にオードリーさんの深夜ラジオで聞いたんですが、若林さんはダイエットもかねて、覚えている落語のネタをぶつぶつ言いながら散歩することもあるそうです。
散歩しながらも、他人の目を気にしなければよさそうですね。
所作の練習はどうやるの?
落語初心者がネタを覚えるときに大変なのが、所作をつけることです。
- 物を食べる所作
- キセルを吸う所作
- 物を持ち上げる所作
- 字を書く所作
など、いろいろありますね。
扇子や手ぬぐいを使って表現することもあれば、道具を使わずに表現することもあります。
ネタの映像を観ることができれば、ハードルはぐっと下がりますが、問題は音源しか見つからない場合です。
映像で所作を確認できないとき
そんなときは、自分で考えてやってみましょう。
いいんです、合ってなくても。
- まずは自分で考えてやってみる
- それを稽古の場で試す
- 講師に修正してもらう
私はこの方法で所作を身につけていってます。
稽古の日までに、どの所作に自信がないか、自分の中で整理だけしておきましょう。
稽古日に質問できるように。
これは落語教室に通うメリットなので、使い倒しましょう。
稽古は録音するの?

録音しない方もけっこういますが、もったいない。
ぜひ録音しましょう。
自分のネタはもちろん、講師のアドバイスの部分まで。
最初の頃は自分の声を聞くのが恥ずかしかったり、嫌かもしれません。
- 自分ってこんな声なのか
- うわっ!ネタを忘れて沈黙してる・・・
- 他の受講生の笑い声がない・・・
など、録音を聞いててへこむこともあります。
それでも、録音したほうがいいです。
録音することのメリットは、以下の点でしょうか。
- 自分のネタを客観的に聞ける
- ウケた部分とウケない部分を知ることができる
- テンポ、間をあとから確認できる
私は最初のころは録音してませんでしたが、5席目から録音しはじめました。
きっかけは、師匠から「いつもよりテンポが遅い」と言われたことでした。
自分ではそんなつもりはなかったけど、師匠にはそう聞こえた。
でも、確認できない。
気になる・・・。
その一件があってから、あとから稽古を振り返られるように、録音するようになりました。
稽古を録音するのはメリットしかないので、絶対に録音しましょう。
ちなみに、録音する機材はなんでもいいですが、私はiPod touchで録音してます。
いつ録音を聞くか
録音した音源は、稽古の帰り道に聞くのはもちろん、毎日の通勤時間にも聞きます。
繰り返し繰り返し聞くことで、ネタを忘れにくくなりますし、「ここはこうしたほうが面白いかな」と気付くこともあります。
あとは、発表会以外でネタをやる機会があるときに、ネタを思い出すきっかけにも使えます。
まとめ
以上、落語初心者の方に向けて、ネタの覚え方をご紹介しました。
落語の練習は、
- まずは暗記
- 稽古を通してネタをブラッシュアップ
- ちゃんとした練習と、ながら練習の使い分け
で、繰り返し練習して覚えていきます。
そのほか、
- 練習場所はどうするか
- 所作はどうするか
- 録音するか
について、私がやっていることをご紹介しました。
私が一席目にやったネタは「道灌」ですが、台本を作るのも、暗記するのも大変でした。
なかなか練習が進まず、稽古に行くのがおっくうな日もありました。
結局、最初の1~3席目ぐらいは、十分にネタができていない状態で発表会をむかえていたのです。
せっかく落語教室に通っているのだから、それではもったいないですよね。
落語を始めたばかりで、ネタを覚えるのに苦労している人、挫折しかかっている人の参考になれば嬉しく思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。