アマチュア落語家の小竜治です。
前回、落語教室の紹介記事を書きました。
今回は、これまで10席以上のネタを覚えてきた私が、落語をこれから始める方に向けて、台本の作り方をご紹介します。
落語初心者さんの参考になれば幸いです。
ネタはどうやって覚えるの?
ネタを決めた次は稽古に向けて練習していくのですが、これがまあ大変です。
まずは台本を作るところから始めます。
この記事では「私はこうやってますよ」という一例をご紹介しますので、よかったら参考にしてください。
- お手本にする音源を決める
- ネタの書き起こし
- 書き起こしたネタをカスタマイズ
順番に見ていきましょう。
お手本にする音源を決める

まずはいろんな落語家さんの音源を聞きまくって、お手本にしたい音源をひとつ決めます。
といっても、ネタを決める時点で、すでに音源が決まっている場合がほとんどですが。
(ちょっとグレーですが)Youtubeで検索すると、たくさんの音源が出てきますので、そこで探すことが多いです。
あとは、レンタルCDを利用することもありますね。
図書館が近くにある方は、そこで借りるのもいいかもしれません。
ちょうど15分のネタが見つかれば次の作業も楽なのですが、マクラ抜きで20分ぐらいがネタ尺の相場な気がします。
「落語 THE MOVIE」のネタは10分程度なので、台本にしやすいのですが、他の人とかぶる可能性が高いので気を付けましょう。
誰の音源をお手本にすべきか?
好きな噺家さんの音源をお手本に選べばいいと思います。
参考までに、私がこれまでに覚えたネタで、誰の音源をお手本にしたのか、挙げてみますね。
「道灌」
→橘家文蔵 師匠、柳家小さん 師匠、立川談志 師匠
「あくび指南」
→柳家小三治 師匠、柳家喜多八 師匠、春風亭一之輔 師匠
「長短」
→柳家小三治 師匠
「出来心」
→柳家小三治 師匠
「かぼちゃ屋」
→柳家小三治 師匠、春風亭一之輔 師匠、四代目春風亭柳好 師匠
「厄払い」
→柳家小三治 師匠、柳亭市馬 師匠
「道具屋」
→柳家小三治 師匠、四代目春風亭柳好 師匠
「ろくろ首」
→柳家小三治 師匠
「粗忽の釘」
→柳家小三治 師匠、立川談笑 師匠
「金明竹」
→柳家小三治 師匠、柳家三三 師匠
「牛ほめ」
→柳亭市馬 師匠、四代目春風亭柳好 師匠
「一目上がり」
→入船亭扇遊 師匠、柳亭市馬 師匠
「雑排」
→橘家文蔵 師匠、柳亭市馬 師匠、三代目三遊亭金馬 師匠、春風亭柳昇 師匠、春風亭昇太 師匠
「のめる」
→柳亭市馬 師匠、三遊亭圓生 師匠
小三治師匠が好きなので、小三治師匠の音源を書き起こすことが多かったですが、長いんですよね。
短くする作業がけっこう大変です。
最近は市馬師匠を参考にすることが多くなってきました。
文蔵師匠のも参考にしやすい印象です。
ネタの書き起こし
音源を決めた次は、ネタの書き起こしです。
この作業が面倒で面倒で・・・。
音源を聞きながら、パソコンで書き起こしていきます。
ノートに手書きする人ももちろんいますが、私の場合はキーボードで打ったほうが楽なので、手書きはしてません。
最初のころは紙に印刷してましたが、途中から印刷するのをやめました。
あとから修正することも多いので、修正するたびにプリントアウトすることになるからです。
台本はPCまたはスマホの画面上で見ています。
全て書き起こし終わったら、次の作業に入ります。
落語の台本の管理に便利なEvernote
私の場合、ネタはEvernoteに保存しています。
PCだけでなくスマホでも見ることができるので、便利でオススメですよ。
有料プランもありますが、無料プランで十分です。
無料プランだと、Evernoteアプリをインストールできる端末は1台だけなので、
- PCではWebブラウザ版
- スマホはアプリ版
と使い分けるのがいいでしょう。
実際、私はこの方法で、PCとスマホの両方で台本を読んだり修正したりしてます。
Webブラウザ版では書き起こしがメイン。

スマホ版では台本を読むことが多いですかね。
外出先での隙間時間に台本を読んだり、修正もできるので、とても便利ですよ。

書き起こしたネタをカスタマイズ
次の作業は、お手本を自分用にカスタマイズする作業です。
- お手本の音源が15分を超えるようなら、ところどころ省略する
- 他の音源で面白いくだりがあれば、それを付け足す(余裕があれば)
- 古すぎてわかりにくい言葉を直す
- 自分が言いやすいように書き直す
といったところでしょうか。
15分におさめる作業がけっこう大変ですね。
どこを削るか、どこを残すか・・・。
いろんな落語家さんの音源を聞いて参考にします。
- この人はここを削ってるな
- このくだりは全員やってるから残すべきだな
- こんな省略のしかたもあるのか
などなど。
時間はかかりますが、いろいろ聞き比べて参考にするのが大切だと思います。
ただ、初心者のうちは、いろいろ混ぜすぎると、ネタの一貫性がなくなってしまうおそれもあるので気を付けましょう。
まとめ
以上、私の落語台本の作り方をご紹介しました。
- まずはお手本にする音源を決める
- 次にネタを書き起こす
- 自分のものにするためにカスタマイズ
このような手順で、毎回、台本を作成しています。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
台本を作成したあとは、稽古会に向けて練習していきます。
落語初心者さん向けに私の練習方法を紹介した記事もありますので、よろしければお読みください。